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最後からふたつめの言葉

エースは大海賊ゴールド・ロジャーの息子である、というだけで、
忌み嫌われがちだった。
そういう育ちだったので、
エース本人も、自分は生まれてきて良かったのか、生きていていいのか、と思い悩む。
そのエースに祖父代わりのガープが言う、
「生きてみたらわかるさ」と。

考えてみると、これはすごく深い言葉だ。
エースにたいして「生きてよいのだ」と簡単に肯定するのではなく、
世界に出てみろ、とその背を押している。
これはエースの人となりを理解し、信じていないと言えない言葉だ。

その言葉通りエースは生きてみた、あちこちへ行ってみた。
結果、父代わりの白ひげと出会い、白ひげ率いる海賊団の仲間たちと出会い、
エースの隔てのない友情に応えて彼に無私の愛を注ぐウォーズやその他たくさんの人と出会う。
その中でエースに一番最初になついたのはルフィーである。
共に育ったルフィーはエースを兄として慕っている。

そのたくさんの人々が、エースを救うためにマリンフォードに集合し、
命がけで闘うのを見た時、エースはガープの言葉を深く理解するのだ。
生きてみたら、こんなにたくさんの人々と出会い、つながる事ができた。
だから、最期の言葉になる。
「みんなに伝えてくれ。愛してくれて・・・ありがとう」
だが、しかし、ここで取り上げたいのはそれより前の言葉だ。



「ちゃんと助けてもらわなくて・・・ごめんな」
(泣きながら見てたので、違ってるかもしれない。「ちゃんと助けてもらえなくて」かもしれない)
今や処刑されようとしているエースをギリギリで救出し喜ぶルフィーを、
海軍の「サカズキ」が攻撃する。
咄嗟に身を挺してルフィーを守った結果、エースはその身に大怪我を負い、
刻々と死に向かいながら、ルフィーの腕の中で、ルフィーに言うのだ。

「ちゃんと助けてもらわなくて・・・ごめんな」と。

兄ちゃんである。
弟思いの立派な兄貴である。
エースはルフィーの喜ぶ顔を見たかったのだろうと思う。
喜ぶルフィーを見たら、エースも幸せになれたろうが、
何より、苦労してマリンフォードまでたどり着いた弟(血はつながったいないが)を屈託なく笑顔にしてやりたかった。
幸福にしてやりたかった。
でも、弟が目前で殺されようとしているのを、兄として放っておくことはできなかった。
だから、エースはその身を投げ出した。
エース自身は処刑される身であったので、死ぬ覚悟はできていただろう。
たぶん、弟を守って自分が死ぬ事に悔いはなかったろう。
ただ、ひとつ心残りだったのは、ルフィーを喜ばせてやれなかった事。
その気持ちが前出の言葉になっている。
なんという兄の愛情であろうか。

そして、自分を愛してくれた人々への最期の言葉を愛する弟に託して、エースは死んでいく。
満足そうな、こう言ってよければ幸せそうな顔つきで。



「ワンピース」。
まったく油断のならないアニメである。


SMAPxSMAPの中の「ワンピース王決定戦」を見ながら、こんな事を思った。
by kumorinotini | 2011-02-18 16:12 | | Comments(0)

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini