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愛犬の死を、認知症である妻に伝える事の良し悪し

花子さんは、ランのことを忘れたと思ったのに、
思い出したのには、驚いた。
「死」という言葉を聞いて、
悲しくて、泣き出した。

こんなにも、感情が豊富だ。
喜び、悲しみがちゃんとわかり、
素直に、思ったままを表現できる。

花子さんの優しさを呼び戻し、
目覚めさせてくれた、

ラン

ありがとう

ランは、最後まで、名犬だ。


とある介護ブログにあった文章です。
ランというのはこの方々の愛犬の名前で、死んで間もなかったのね。
で、ブログ主はこのことを認知症の奥様に教えた、と。


これは若年性アルツハイマーになった奥様を、熱心に介護していらっしゃる旦那様のブログなんで
うるさい事は言いたくないんだけど、
この文章をたまたま読んだ時は、なんで教えてしまうかなぁ~~と歯噛みしたくなりました。
この方に悪気がないのはわかっているけど、
ずいぶん長いこと介護してきたわりに
認知症のことがわかってないなと残念でなりません。
という私も義母の認知症しか知らないわけだけど。
でも、言っちゃう。

日常のどうでもいい事は忘れてしまうようだけど
ある程度ショッキングな事はちゃんと記憶に残るらしいのよ。
ちゃんと記憶に残るらしいの。
だけど、うまくラベル張りができないんで、ちゃんと取り出せないみたい。
要するに、瞬時に検索できないって事ね。

このラベリングができない、って事は非情に怖いことでね、
無関係な時に、記憶の箱(引き出しでもなんでもいい)が開いてしまうのよ。
認知症でなかったら、悲しい出来事を何日もかけて、薄めていけるものだけど
認知症の人にはそれができない。
記憶の箱にラベリングできないから。
だから、一見忘れてしまったように見えるんだけど、
ある時なんの因果かそのへんの箱が急に開いてしまう。
その箱に入っていた記憶がたいした事ないものだったらいいけど
ちゃんと記憶の箱にしまわれる記憶は
どうも強く感情が動いたものらしいのね。
嬉しい事だったらいいけど、悲しいことや嫌なことだったら、って話だわ。

このブログのように<愛犬の死>だったりすると
なんの脈絡も予兆もなく、<愛犬の死>の記憶の箱がパカッと開いたりしようものなら、よ。
認知症の人は、前回味わったと同じショックを再び味わうわけです。
ひどいと思わない?
残酷でしょ?
だから、認知症の人に悲しい出来事は教えるな、というのが私の持論だわ。

だけど、このように長いこと、認知症の人を世話してきた人ですら
「認知症は全部忘れてしまう病気なんだ」なんて、思い込んでしまってるんだから
病気を理解しれもらうのって、楽じゃないのね。
実に厄介よね。
正しい知識を持ってもらうのって、とても大事な事なのに。

実をいうとさ、
たいていの病気が、正しい理解をなされてないとも言えるんだけどね。
病気に限らず、多くの人に正しく理解しれもらうのって、ものすごく難しい事なんだな。
by kumorinotini | 2013-03-31 22:04 | PC・ブログ | Comments(0)

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini