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「あんたの振袖」

母から留守電が入っていて
いわく
「タンスを片付けていたら『あんたの振袖』が出て来たから
 カホちゃんの結婚式の時にエマちゃん(=師匠)にどうかと思って」

「あんたの振袖」、
つまり私の振袖という意味なんでしょう。
でも、私は咄嗟に何を言っているのかわからなかった。
私の振袖なんかないのに。
その後思い出した。
そう。
私用だと称された振袖があったことに。

成人式の翌年に母の姪っ子から買った振袖。
そして、さらにその翌年、妹に着せた振袖。
姉妹二人の共有というならまだ理解もできるけど
妹には妹用の成人式の振袖を母はちゃんと用意した。
妹はそれを着て式に参列し、帰宅後友人と会うといって出かける時
もうひとつの方のに着替えたのだ。
なんでそうなったのか覚えてないけど、何故かそうなった。
私はその着付けを手伝い、タクシーを呼ぶために表通りまで走ったっけ。
以来私の中ではふたつとも妹の振袖だ。
私がその振袖に手を通したのは結納の時だけだ。

なのに、母は「あんたの」という。
一体どこが私の振袖なんだろう。
私のならば、私が最初に手を通してしかるべきなのではないか。
なんとかできたカサブタを母はあっさりはがしてしまった。
あの時の気持ちは消えてなどいなかったのだ。
消えたと思っていたのに、すっかり忘れていたのに。


そして今日、用事があって母に電話し、師匠が着物を着ないと告げると
母は言った。
「赤いものを着ればいいのに」
ああ・・・
私が独身の時、母がよく言ってたなぁ・・・
「赤い服を着ればいいのに」
と。
赤い服を着て、男をひっかけろと。
直接そう言いいはしなかったけど、遠まわしにそう言ってきた。

こんな事を今さら母に言ってもどうにもならないので
黙っているしかないのだけど・・・ 
いろいろ思い出すうち、心がザワザワしてきた。
猫だったらこういう時、自分の毛をなめてなめて
気持ちを落ち着かせるのだろうけど、残念なことに私は人間だ。
どうしていいのかわからない。
どうしたらこのザワザワは治まるのだろうか?
我慢するしかないのだろうか。
そうね・・・時間が解決してくれるのを待つしかないのよね。
だから、親と話すのはいやなのだ。
by kumorinotini | 2014-10-07 22:03 | ワタシの一族 | Comments(0)

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini