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妹のだんなさん

まだ外歩きは禁じられている。


妹のだんなさん、つまり私の義弟は博覧強記である。
何かを尋ねて答えが返って来ないという事は滅多にない。

実によくいろんな事を知っている。

ある時彼が「ジャンボ・ジェットの飛ばし方」というハウツー本を読んでいるのを見て、
こうやって日頃から知識を仕入れているのだなといたく感心したものである。



そしてーーーーモワモワァァン(妄想がひろがる音)

飛行機の中―――
キャビン・アテンダント(次ぎからはCAと略す)が慌ただしくやってきてこういう。

「お客様の中に飛行機を操縦出来る方はいらっしゃいませんか?」

ざわめく機内で、手を挙げる義弟。


『あんなに本を読んだんだ。きっと、できる』


ほっとした表情で駆け寄るCA。
「よかった・・・コックピットへお願いします」

大丈夫なの?と目で聞く妹のカロライン。
義弟はカロラインの細い肩を抱きしめて言う。

「大丈夫さ。僕がこれまで嘘をついた事があるかい、ハニー?」

山ほどあったが、今それを言うのはヤバイと素早く考える妹。

「ないわ」
「待っていてくれ。必ず帰ってくるよ、スィート・ハート」

スミレのような瞳できらきらと義弟を見上げる妹。

コックピットへ案内されると機長は失神しており、副操縦士はお腹を押さえてうめいている。
すがるような目でCAが言う。

「さきほどからこの状態なんです。どうか、お願いします。300人の命がかかっているんです!」
「わかりました」

機長をどかせて、操縦席にすわる義弟。
内心思う。


『本で見たのより・・・でかいな』


だが、着陸の時間は迫っている。
インカムを付け、管制塔に連絡を入れる。

「こちら、JANA123便、緊急事態発生により一般人の私、レオナルド・デップが操縦しています」

管制塔「わかりました。今から日本語オンリーにします。デップさん、どこで勉強されました?
     飛行時間は何時間ですか?」

レオ「日の本経済新聞社の『ジャンボジェットの飛ばし方』を1週間ほどかけて読みました。
   おりにふれて、読み返しています」

管制塔「・・・・・・・・・まじ?」 




(これは妄想なんで、どしろうとの初着陸でもうまくいってしまうのである)



わきあがる機内の歓声の中、席にもどるレオ。

そのあと妹夫妻はマスコミのフラッシュを浴びながら、タラップを降り質問攻めにあうのである
が、ヒーローの妻の姉としてなぜか私もメディアの訪問を受け、フルメイク・ローブデコルテ姿でインタビューを受けるのである。

「レオちゃんはそりゃー勉強家で、いつも熱心に本を読んでいるんですのよ。ですから、絶対大丈夫だと思っていましたわ」(嘘である。すぐに喪服の用意をした)

そのあと、放送時間を確認して、私は友人・知人に

「○日の○時にテレビに出るから見てね」と連絡しまくるのである。

さて、放送の時間が来た。

女性キャスターが言う。
「つぎはこのジャンボを操縦した方の義理のおねえさんのインタビューです」

おりからの個人情報保護法のために、
モザイク・変換した声の私の映像が流れるのである。


・・・残念っ!!


ポワポワポワワァァン。妄想終わり。
by kumorinotini | 2005-10-26 10:07 | 雑感 | Comments(0)

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini