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そんなことでいちいち驚かない

最近母の周囲にも認知症の人がちらほら出てきているようだ。
その中に一緒にパークゴルフをする仲間がいるんだそうだけど

「ホールまであと30cmくらいしかないのに、カーーンて飛ばすんだよ」
「自分のクラブがそこにあるのに、ない!ない!って騒ぐ」
あるいは近所の人で
「こないだお惣菜のおすそ分けを持っていったら、その場で食べ始めるんだよ。お礼もなしで」

などと、こっちにいちち驚いた顔で教えてくれる。
眉をひそめて。
まるでとんでもない事であるかのように。

いつからこの人はこんな風になってしまったんだろう、と悲しくなるけど
きっと今まで気づかなかっただけで
ずっとこんな人だったんだろうな、とこれまた悲しく再認識するわけだ。

結婚前はこんなに話した事はなかったし
結婚してからもこんなに話してこなかったし
いろいろしゃべるようになったのは
ここ数年のことだ。
知らないって、幸せな事なのね。

いつか自分もそうなるかもしれないとは考えるみたいだけど
「年寄り笑うな、行く道だもの」
という優しい気持ちにはならないらしい。
あ~~やだやだ、見せ付けられるようで、みたいな気持ちらしい。

「ホールまであと30cmくらいしかないのに、カーーンて飛ばすんだよ」
ー(そうだよ、だから、認知症なんだよ)

「自分のクラブがそこにあるのに、ない!ない!って騒ぐ」
ー(そうだよ、だから、認知症なんだよ)

「こないだお惣菜のおすそ分けを持っていったら、その場で食べ始めるんだよ。お礼もなしで」
ー(そうだよ、だから認知症なんだよ)


母がいろいろ教えてくれる認知症の人の言動に関して
全部知ってるよ、だから、認知症なのよ、ともいえず、
ああ、そうなの、と黙って、悲しい気持ちで聞くしかないのだけど。


ところでコースをいっしょに回る父は
最近認知症の人のサポートのコツをつかんだらしく
たまに優勝したりしているらしい。
認知症の相方は優勝すると凄く喜ぶんだそうだ。
さもありなん。
いつもは「・・・ができない」「・・・が駄目」と言われ続けることがほとんどで
そのたびに悲しい気持ちになってるだろうから。
何かうまくいく経験ができる事はとても良いことだと思う。
ただフォローする父はへとへとになるそうだが
あの短気な父が、根気よく相手しているのかと思うと
不思議な気がするけど。
by kumorinotini | 2012-11-06 16:00 | ワタシの一族 | Comments(0)

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini