人気ブログランキング | 話題のタグを見る

僕の大好きなミホちゃん

ショートショートです。

けっこうありがちな内容ですがよろしければ・・・




「僕の大好きなミホちゃん」

僕はミホちゃんが大好きだ。

ミホちゃんは女子高校生。
栗色の髪の毛をゆったり三つ編みにしているんだけど
それが色白のミホちゃんによく似合っているんだ。

一度、面と向かってミホちゃんに近づいた事があるんだけど
ミホちゃんは悲鳴を上げて逃げた。
僕のどこがいけないのかわからないけど
僕はミホちゃんに嫌われているみたいだ。
すごく悲しい。

仕方ないから、ミホちゃんの部屋にいくのは もっぱら留守か夜中。
こっそり忍び込むんだ。
夜中にこっそり侵入してミホちゃんの寝顔を眺めた事だってある。
ミホちゃんの肌の産毛が見えるほど近づいて眺めたんだ。
色が白いったって、紙みたいに真っ白じゃないんだ。
白の奥の方にうっすらピンクが透けてみえる、そんな白さなんだ。
それが除夜灯でほんのり見えて
きれいだったなぁ・・・可愛いかったなぁ・・・

ミホちゃんが眠っているあいだに
ミホちゃんの服にそっと触れてみたり
ミホちゃんのバッグの中を覗いてみたり
時々は飲み残しのジュースを頂く事もある。
僕はそれだけで充分幸せだから。

今日も・・・
あ!
ミホちゃんが帰ってきた!
ヤバイ!
隠れなきゃ。
僕は急いで机の下に隠れる。
ミホちゃんが来ませんように。
見つかりませんように。
ウワー、僕の心臓の音がミホちゃんに聞こえそうだ。

・・・

大丈夫、鞄を置きに来ただけみたい。

ふう・・・

机の下は見つかる確率が高いから
ベッドの下に移動しよう。

あ、また、誰か来る。
あの足音はミホちゃんのパパだ。
どうして?
パパはミホちゃんの部屋には滅多に来ないのに。
だから、安心してミホちゃんの部屋に侵入してたのに。
ミホちゃんがパパに何か言ってる。

「絶対、アイツがいたのよ。あたし、ちらっと見たもん」

「本当にいたのか?」

「いたってば!机の下にいるのが見えたもん」

「どれ・・・机の下にはいないなぁ。
 動いたのかもしれないな」

と、ミホちゃんの悲鳴が聞こえた。

「パパーーー!ベッドの下にいるーー!」

ピンチ!
とにかく部屋を出なくちゃ。
僕はベッドの下から走り出る。
と、間髪を入れず、大きな物がバシンという音ともに僕の全身を潰した。
痛い・・・痛いよう・・・
身体がバラバラになったみたいだ。
僕は薄れ行く意識の中で大好きなミホちゃんの最後の声を聞いた。

「パパ、そいつの始末もしてよね。
 ああ、やだ!
 ゴキブリだけは絶対駄目。存在自体が許せないよ」

ミホちゃん・・・大好きなミホ・・・・ちゃん・・・
by kumorinotini | 2008-03-31 09:18 | 創作

ミラーサイトだったのに、本家になっちゃって・・・


by kumorinotini